大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

大阪地方裁判所 昭和60年(わ)4901号 判決

本店所在地

大阪府東大阪市若江南町五丁目一番五〇号

関西スチールネット株式会社

右代表者代表取締役

木村智正こと李基福

本籍

韓国慶尚北道義城郡佳音面佳山洞五三八番地

住居

大阪府東大阪市宝持三丁目一番三三号

会社役員

木村智正こと李基福

昭和九年四月三〇日生

右関西スチールネット株式会社及び李基福に対する法人税法違反各被告事件について、当裁判所は、検察官宇田川力雄出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人関西スチールネット株式会社を罰金二〇〇〇万円に、被告人李基福を懲役一〇月に処する。

被告人李基福に対し、この裁判確定の日から三年間その刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告法人関西スチールネット株式会社は、大阪府東大阪市若江南町五丁目一番五〇号に本店を置き、金網製品の製造販売業を営むもの、被告人李基福は、同会社の代表取締役としてその業務全般を統括しているものであるが、被告人李基福は、同会社の兼務に関し、法人税を免れようと企て

第一  同会社の昭和五六年五月一日から同五七年四月三〇日までの事業年度において、その所得金額が一九四、四〇五、五九二円(別紙(一)修正損益計算書参照)で、これに対する法人税額が七八、三七八、〇〇〇円であるのにかかわらず架空仕入れを計上するなとの行為により右所得の一部を秘匿した上、同五七年六月三〇日、大阪府東大阪市永和二丁目三番八号所在の所轄東大阪税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金観が四一、一八六、四六二円で、これに対する法人税額が一四、〇六二、八〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、法人税六四、三一五、二〇〇円を免れ

第二  同会社の同五七年五月一日から同五八年四月三〇日までの事業年度において、その所得金額が九五、二一七、〇〇三円(別紙(二)修正損益計算書参照)で、これに対する法人税額が三七、二一六、一〇〇円であるのにかかわらず、前同様の不正行為により右所得の一部を秘匿した上、同五八年六月三〇日、前記東大阪税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が四九、八四四、九四〇円で、これに対する法人税額が一八、二一七、九〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、法人税一八、九九八、二〇〇円を免れ

第三  同会社の同五八年五月一日から同五九年四月三〇日までの事業年度において、その所得金額が四一、一二五、六七三円(別紙(三)修正損益計算書参照)で、これに対する法人税額が一五、二三三、三〇〇円であるのにかかわらず、前同様の不正行為により右所得の一部を秘匿した上、同五九年六月三〇日、前記東大阪税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が一二、一二三、一七八円で、これに対する法人税額が二、六七五、四〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、法人税一二、五五七、九〇〇円を免れたものである。

(証拠の標目)

判示全部の事実につき

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する供述調書二通

一  被告人の大蔵事務官に対する質問てん末書一二通

一  末藤静子、古谷晃の検察官に対する各供述調書

一  金水、末藤静子(六通)、山本くり子(二通)、金榮擇、大谷孝親、大塚邦雄、稲森米子、皆川良、谷岡正明、坂上良三、李澄子、松本俊司こと崔俊司(二通)、大島文虎こと許文虎(二通)、朱宗中(二通)、小川浩平(二通)、古谷晃(二通)の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一  大蔵事務官作成の査察官調査書一三通

一  古谷晃(二通)、皆川良作成の「確認書」と題する各書面

一  大蔵事務官作成の「証明書」と題する書面

一  登記官作成の法人登記薄(謄本)

判示第一の事実につき

一  被告人李作成の法人税確定申告書謄本(昭和五七年四月期分)

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(昭和五七年四月期分)

判示第二の事実につき

一  被告人李作成の法人税確定申告書謄本(昭和五八年四月期分)

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(昭和五八年四月期分)

判示第三の事実につき

一  被告人李作成の法人税確定申告書謄本(昭和五九年四月期分)

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(昭和五九年四月期分)

(法令の適用)

被告人李基福の判示各所為は、いずれも法人税法一五九条一項に該当するので、それぞれにつき所定刑中懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第一の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で同被告人を懲役一〇月に処し、情状により同法二五条一項を適用して、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予することとする。

被告人会社に対しては、法人税法一六四条一項により被告人李基福の前記同法一五九条一項の各違反行為につきいずれも同条項の罰金刑に処すべきところ、以上は刑法四五条前段の併合の罪であるから、同法四八条二項により各罪所定の罰金の合算額の範囲内で、被告人会社を罰金二〇〇〇万円に処することとする。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 西川賢二)

別紙(一) 修正損益計算書

関西スチールネット(株)

自 昭和56年5月1日

至 昭和57年4月30日

〈省略〉

別紙(二) 修正損益計算書

関西スチールネット(株)

自 昭和57年5月1日

至 昭和58年4月30日

〈省略〉

〈省略〉

別紙(三) 修正損益計算書

関西スチールネット(株)

自 昭和58年5月1日

至 昭和59年4月30日

〈省略〉

〈省略〉

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例